出演者プロフィール チケット申込 リンク
ベートーヴェン
「荘厳ミサ曲」 ニ長調 作品123
1.キリエ(あわれみの賛歌) Kyrie
2.グローリア(栄光の賛歌) Gloria
3.クレド(信仰告白) Credo
4.サンクトゥス(感謝の賛歌) Sanctus
5.アニュス・デイ(平和の賛歌) Agnus Dei
 ベートーヴェン自ら「私の最高傑作」と自負したという『荘厳ミサ曲』ニ長調(作品123)は、 交響曲第9番ニ短調(作品125)と同時期に平行して作曲され、1824年に相前後して初演された。 親交のあったルドルフ大公の大司教就任祝いとして書き始められたが、 書き進めるうちに巨大な作品に膨れあがり、結局、就任式には間に合わなかった。
 それまでの伝統的な教会音楽の枠組みから踏み出し、新時代の自由なオラトリオとして世に送り出されたこの曲を、 ワグナーは「最も真正なベートーヴェン的精神を持つ純粋な交響曲的作品」とみなし、 ロマン・ロランは「一人の人間と一時代の信仰告白(Credo)である」としている。
 直筆譜の冒頭には「心より出で願わくば再び心へと向かわん(Von Herzenmoege es wieder zu Herzen gehen!)」とあり、 また終曲「アニュス・デイ」には「内と外の平和を願って(Bitte um innern und aussen Frieden!)」のメモ書きが残されている。 同時期に作曲された交響曲第9番のテーマが 「時代が引き裂いてしまった全ての人類が再び抱き合い兄弟となる」ことを希求していることや、 作曲者自身が当時ほとんど聴覚を失っていたことなどを思うと、 このミサ曲には「疾風怒濤」の時代に生きたベートーヴェンの波乱に満ちた生涯と当時のヨーロッパ社会の不安や希望が 宗教的祈りとともに凝縮されていると想像される。
 「アニュス・デイ」には、「我らに平和を与えたまえ(Dona nobis pacem)」の間に 戦争を暗示するトランペットとティンパニによるエピソードが挿入され、聴き手を現実の世界へと引き戻す。 平安と不安が交互に対比され、神の至福に対する安堵感のないまま突然のごとく曲が閉じられる。 これは「不安にかき消された終息」であるのか、 それとも第9交響曲最終楽章へと向かう希望の断片であるのか、謎は残っている。
 本年度、創立50周年を迎えたグリーン・エコーは、この曲に込められた精神を今再び世に問う価値のある現代的課題ととらえ、 記念演奏会の趣旨とした。
↑ページのトップへ
グリーン・エコーのホームページへ Copyright (C) 2006 GREEN ECHO. All Rights Reserved.
当ホームページに掲載している情報については、当団の許可なく、これを複製・改変することを固く禁止します。
また、グリーン・エコーの出版物ほか写真等著作物についても無断転載、複写等を禁じます。