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4人の現代作曲家による21世紀的コスモロジー
コスモロジーとは、「宇宙観」という意味です。
今回取り上げる楽曲の多くはキリスト教を基盤とする宗教曲ですが、
科学的成果の目覚ましい時代にあって自然と共に生きることの価値を再認識した現代人の世界観を表しているという点で、
宗教的信仰と言うよりむしろ人類共通の新しいコスモロジーをテーマにしていると言えます。
ノルウェー出身のオラ・イェイロ(Ola GJEILO 1978-)以外、ジョン・ラター(John RUTTER 1945-)、
ジョナサン・ダヴ(Jonathan DOVE 1959-)、ジェームズ・ウィットボーン(James WHITBOURN 1963-)は、皆イギリス出身者です。
いずれも現在イギリスやアメリカを中心に精力的に活動の幅を広げている同時代の作曲家です。
ラターは既に代表作「レクイエム」などで合唱界に金字塔を打ち立てていますが、後に続く三人もさらに印象的な合唱作品を次々と生み出しています。
20世紀に興隆した現代音楽には、理論先行型の作品が目立っていましたが、彼らの作品は、技術偏重の合理主義に閉塞感を感じ、
改めて精神性の大切さに気付いた我々の心に響く美しいメロディと音響を提供しています。
そして、人間の声がその役割に最適であることが意識されていて、合唱作品としての魅力も特筆に値するものばかりです。
彼らに共通するのは、流麗で美しいメロディとハーモニー、構造的に明晰な作風、そしてポピュラリティと質の高い精神性の両立にあります。
日頃、キリスト教音楽に縁遠い方でも、きっと彼ら独特の清々しい盛観に浸り、心をリフレッシュして帰って頂くことができるでしょう。
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パイプオルガンと声のコラボレーション
今回の演奏会では、日本を代表するオルガン奏者、室住素子さんを迎え、2ステージを共演して頂きます。
また合唱とつきあいの長いパイプオルガンの他、ピアノ、弦楽合奏、ソプラノサックスと言った人間の声と相性の良い楽器とのコラボレーションも魅力的です。
いずれの作品も、合唱と楽器のどちらが主役という訳でなく、それぞれに対等な役割が与えられ、互いに活かし合っているところに特徴があります。
そのあたりもぜひ、お楽しみ下さい。
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